2005年9月3日

先日ワシントンとニューヨークから帰ってきたばかりなので、ハリケーン「カトリーナ」がもたらした大被害の映像を見ると、心が痛みます。特に、猛暑の中、3万人の避難民が冷房もトイレもこわれた屋内スタジアムに収容されている状況を考えると、ぞっとします。ハリケーンは去っているのに、収容施設でお年寄りや病人が死亡し、その遺体や排泄物の横で人々が寝起きしているという情景は、これが21世紀の工業先進国の姿かと問いたくなってしまいます。ニューオリーンズ市内に残った市民の大半は、ハリケーンを避けて北部へ逃げるお金がなかった貧しい人々だったことを考えると、欧州以上に、「富める者に優しく、貧しい者に厳しい」ことを原則として築かれた米国社会の仕組みそのものが、今回の自然災害の人的被害を拡大しているという気がいたします。

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少しは明るい話題も。
米国のオフブロードウエーで今人気があるコメディー「Jewtopia」は、ユダヤ系市民に関する偏見や先入観を逆手に取った劇で、傑作でした。元々ロサンゼルスで始まったお芝居ですが、同地で大当たりしたのでニューヨークでも上演されているのです。NYへ行かれる方で、ユダヤ文化や社会に関心がある方は、ぜひご覧下さい。